第13話「悲しみは海の彼方に」のストーリーを徹底再現!:「ハーパーズ・アイランド」徹底解説サイト

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第13話「悲しみは海の彼方に」のストーリーを徹底再現!

※ネタバレ前提の内容です。ご注意ください!


16年前のハーパーズ島。


海辺の家で、2人の子供が遊んでいる。仲の良い男の子と女の子だ。女の子はアビー。男の子はヘンリー。

ヘンリーの家族が彼を迎えに家にやって来たようで、玄関に出迎えるチャーリー・ミルズ。

入ってきたのは父親と母親のカレンと、もう1人の子供JD。子供達の学校が始まるので、今年は早めに島から帰ることにしたらしい。

アビーの母親、サラも奥の部屋から出てきて出迎える。父親がヘンリーに船が出る時間だ、と促すが、ヘンリーはアビーと遊び足りないようだ。サラがヘンリーを見つめる目が少しぎこちない。

サラとカレンは少しの間視線を通わせて、何事か気持ちのやりとりをしている。

話をしている父親同士の間を抜けて、ヘンリーはアビーを連れて家の下の海辺に降りていった。

アビーはヘンリーに、帰って欲しくないな、と言い、ヘンリーも、僕もこの島に住めたらいいのに、と言う。知らないだろうけど僕の住んでるタコマって町は・・・、ヘンリーが言うと、退屈?とアビーが言う。とにかく、この島の方がずっと好きだ、と言うヘンリー。アビーは彼の耳元に口を寄せて、何か囁く。ヘンリーはそれを聞いて、僕もだよ、と答える。

父親が呼んでいるので、仕方なく戻る2人。


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トリッシュの死体の前でたたずむヘンリー。そしてウェイクフィールド。好きな女か?とウェイクフィールドが聞く。他のヤツより辛かった、と答えるヘンリー。目的の為だ、と言うウェイクフィールド。ヘンリーはダニーは殺した?と聞く。ウェイクフィールドは、勇敢なヤツだったよ。彼は戦い、シェイと娘を逃がした、と答える。

ホテルの方角からアビーがヘンリーとトリッシュを呼ぶ声が聞こえる。ヘンリーは、2時間後に沿岸警備隊が来る、グズグズしてられない、とウェイクフィールドに言い、2人は姿を隠す。


ボート小屋に着く、シェイ親子。サリーが無線の番をしていて、ビックリし、銃を構える。マディソンはウェイクフィールドが逃げたと伝える。サリーは、ジミーを疑うが、シェイは、ジミーはアビーと一緒にいて、ここに行くように教えてくれた、と言う。ダニーはどうした?というサリーに、マディソンは、私達を逃がしてくれて・・・、と答え、シェイは、あの男と戦ったの、と言う。サリーは、クソッと毒づく。無線で沿岸警備隊に、捕まえていたウェイクフィールドが脱走したと伝える。沿岸警備隊は天候の回復を待ってヘリを飛ばすが、今は無理だという。サリーは天を仰ぐが、そのときボート小屋の屋根に吊ってあったボートに気が付く。彼は、この島を出るぞ、とシェイたちに言う。


アビーとジミーは、トリッシュの死体を見つけた。立ち尽くす2人を、森の上の方から見下ろすウェイクフィールドとヘンリー。ウェイクフィールドは、時は来た、計画を実行する時だ。とヘンリーに言う。ヘンリーはゆっくりと頷き、アビーを殺す、と言う。


天井のボートを海に出し、シェイとマディソンを乗せ、東に向かえと言うサリー。あなたも一緒に、とシェイが言うと、まだウェイクフィールドが居る、と言うサリー。私も妹を待つ、と言うシェイに、今優先すべきは娘を逃がすことじゃないのか、と言うサリー。シェイはサリーに礼を言い、ボートを出航させる。見送るサリー。


アビーとジミーは、ヘンリーを探すが、見当たらない。武器もないので、一旦ボート小屋に戻ることにする。


ボート小屋では、サリーが無線で沿岸警備隊にシェイとマディソンが乗ったボートの保護を頼んでいた。沿岸警備隊は了解した。そこへ小屋に入ってくるヘンリー。

サリーはヘンリーに気付いてビックリするが、無事を喜ぶ。ウェイクフィールドが脱走した件をヘンリーに伝えるサリー。ヘンリーはシェイとマディソンは脱出したのか、そしてなぜお前も行かなかった?と聞く。サリーは、お前を置いて行けないよ、と答える。ヘンリーは、嬉しいよ、と言う。お前の人生の中で一番バカな決断かもな、と言って2人は笑う。

沿岸警備隊がサリーを名指しで交信してくる。サリーは、名乗って、ヘンリー・ダンも一緒だ、と言う。一瞬ヘンリーはサリーを見る。無線で言うには、ヘリはあと45分で島に着くそうだ。船も向かっているらしい。無線で港へ行け、と指示を受ける。ヘンリーはサリーが交信している間、銃の弾を確認している。交信が終わり、トリッシュと森ではぐれたことや、ダニーが恐らくウェイクフィールドにやられてしまった事など、状況を確認する2人。


ヘンリーは、まずトリッシュを見つけて、次にアビーとジミーだ、と言い、サリーと2人で小屋を後にする。

森を歩く2人。先頭でサリーが銃を構え、後ろをヘンリーが歩いている。ヘンリーは、ウェイクフィールドはどうやって脱出したと思う?きっと共犯がいる、とサリーに言う。誰だ?と答えるサリー。誰だと思う?と逆に聞き返すヘンリーに、ジミーが怪しいと思っていたが、やつはあの時アビーと一緒だった、とサリーは言う。ヘンリーは、ウェイクフィールドの息子ならどうだ?と言う。サリーは、もしそうなら幽霊だ。俺たちの誰にも姿を見せずに動いている、と言う。ヘンリーは、ヤツを牢に入れたのは俺だ。俺なら鍵を渡せたぞ、と言う。サリーは、仮定の話で、もしヤツに息子がいたとして、そいつも殺しをやるのかな?と言う。ヘンリーは、恨みがあるんだろう。とてもたくさんの恨みが、と言う。サリーは、恨みがあるのはこっちの方だ、と言う。ヘンリーは、だが母親に捨てられ、負け犬家族に真実も知らないまま育てられたとしたらどうだ?と言う。サリーは、辛いことは誰にだってある、と答える。ヘンリーは、俺なら恨むな、と言う。ずっと騙されて暮らしている時に、本当の父親が現れて、本当のことを教えてくれたら嬉しいし、父親の復讐だって手伝う、と言う。サリーの歩みが遅くなる。おいよせよ、気味が悪いな、と言うサリー。見つめ合う2人。ヘンリーは笑って、そうだな、スマン、と言い、2人は再び歩き始める。


アビーとジミーがボート小屋に着く。誰もおらず、ボートもない。アビーは、大丈夫、きっと皆逃げたのよ、と言う。ジミーは無線を手に取り、沿岸警備隊に連絡を取る。ジミーとアビーだ、救助はいつだ、と聞くと、40分でヘリが到着するので、友達と一緒に待て、と言う。アビーが、友達?と聞き返すと、サリーとヘンリーの名を言い、港へ向かわせた、と言う警備隊。2人は念のため発煙筒を持って行く。


アビーとジミーを探しているサリーとヘンリー。サリーが、ダニーを探しに保安官事務所に行ったって事はないか?とヘンリーに言うと、ヘンリーは、ダニーは死んだ、と言う。サリーは、見たわけじゃない、と言うと、ヘンリーは、トリッシュも死んだ、と言う。サリーは振り返ってヘンリーを見る。俺が殺した、というヘンリーに、ふざけるな、黙れというサリー。JDも俺が殺したんだ、覚えてないか?港で雨の中だった、というヘンリー。あれはもう少しでアビーにばれるところだった、と続けるヘンリー。何言ってるんだお前、おかしいぞ、とジリジリ後退するサリー。迫ってくるヘンリー。これは告白だ、新しい人生を始める前の。お前は友達だから死ぬ前に教えてやってるんだ、と言うヘンリーは、みんな俺と父さんで殺したんだ、と言う。サリーは、お前の親父さんの葬式には俺も出たぞ、と言うと、あいつはニセの父親、本当の父親はジョン・ウェイクフィールド、彼だけが俺に真実を教えてくれた、と答える。サリーは、お前は中学の時からの親友だ、と言うと、ヘンリーはおもむろにズボンのポケットからナイフを取り出す。サリーは、おい、よせ、やめろ、と銃を構え、俺にお前を撃たせるな、と頼む。ヘンリーは、俺はフェイン神父の首を切り、リチャードを銛で突き殺した。マディソン捜索の混乱に乗じてキャサリンを刺し殺したのも俺だ。スリルがあった、と言う。サリーは、後退しながら銃を突きつけ、殺されたいのか、と脅すが、ヘンリーは一向にひるまない。ヘンリーは思い出し笑いをし、笑ったのは船にあった金だ、と言う。あれはマーティー叔父さんがマルコムに投資するための金だったんだ。あれをマルコムに見つけさせて、どうなるか見てたんだ。面白かったよな。と言うヘンリー。サリーは、クソ野郎!と言って引き金を引いたが、弾は出なかった。ヘンリーは、ポケットから、抜き取った銃弾を2発取り出し、悪いな、と言う。サリーは、銃を逆さに持って構えた。ヘンリーは、サリーの背後に、やあ父さん、と言い、後ろにヤツがいるぞ、とサリーに言う。サリーは、ヘンリーから目を離さず、俺はそんなにバカじゃない、と言う。すると、後ろから、いや、本物のバカだ、と声がする。驚いてサリーが振り返ると、そこにはウェイクフィールドが立っていた。そして振り返ったサリーにヘンリーが後ろから組み付いて、ナイフを背中に突き立てる。グイグイとナイフを突き入れ、ヘンリーはサリーの耳元で、トリッシュを誘ったな、と言って止めをさし、サリーの体を突き放した。ウェイクフィールドは、幕切れの合図だ、と言って銃を空に向かって撃つ。


その銃声を聞いて、駆け付けるアビーとジミー。ヘンリーは2人にウェイクフィールドを近くで見た、と言う。アビーはサリーは?と聞くがヘンリーは、分からない、トリッシュをどこかで見なかったか?と聞き返す。アビーはトリッシュが死んでいたことを話す。アビーとジミーは、トリッシュの遺体があった場所へヘンリーを案内するが、すでにウェイクフィールドが移動させていたため、そこには何もない。ヘンリーは、怪我をしているだけで、どこかに行ったんだ、と演技をする。ジミーはヘンリーに、確認したんだ、彼女は死んでいた、と言う。ヘンリーは、死んだなんて言うな、とジミーに突っかかる。アビーは、気持ちは分かるけど本当なの、とヘンリーに言う。ヘンリーは、トリッシュを探すと言って駆け出す。後を追うアビーとジミー。


その頃ボート小屋の無線には後20分でヘリが港に着くという交信が入っているが、すでにその交信を受ける者は小屋には居なかった。


ヘンリーは、走って教会へと入っていく。それを追いかける2人。ジミーはアビーに、ヘンリーが1人なのはおかしくないか?と言うが、アビーは、きっとどこかではぐれてずっと探していたのよ、と言う。ジミーは、俺なら君から離れない、と言いながら2人は教会へ入っていく。


トリッシュは教会に横たわっていた。ヘンリーはトリッシュの遺体の前で立ち尽くす。アビーが近寄り、可哀想に、と言う。その時、ジミーの背後からウェイクフィールドが襲い掛かる。とっさに身をかわすジミー。応援しようとするアビーをヘンリーが、よせ、危ないなどと言いながら抱きとめる。ウェイクフィールドの攻撃を何とかかわすジミー。ヘンリーは持っていた銃を構えるが、アビーがまだだめ!と言う。ジミーとヤツが揉み合っていたからだ。ジミーが倒れ、ウェイクフィールドだけが立った状態になったときに、アビーは今よ!と叫ぶが、今度はヘンリーが、ダメだ、ジミーに当たってしまう、と言って撃たない。その時教会の上空にヘリのプロペラ音が響く。救助隊よ!とアビーが叫ぶ。ジミーは、ウェイクフィールドに応戦しながら、アビー!行け!発煙筒で合図するんだ!と叫び、アビーは駆け出す。ウェイクフィールドは、ヘンリー!女を追え!と叫ぶ。目を見開くジミー。教会から駆け出したアビーに気を取られている隙を突いて、ジミーは自分も持っていた発煙筒に点火し、ウェイクフィールドの腹に押し当てて、自分も出口に走る。ウェイクフィールドが、始末しろ!と叫び、ヘンリーは銃を撃った。


アビーはヘリの音を追って、森に入っていた。ヘンリーが後から追ってくる。ジミーは?と聞くアビーに、ヘンリーは、殺されたよ、すまない、と答える。ヘンリーはヘリの行方を顔で追い、着陸地点は?とアビーに聞く。アビーはボート小屋で、無線の相手の沿岸警備隊からサリーとヘンリーを港に向かわせた、と聞いたことを思い出す。では、なぜヘンリーは、そんなことを聞くのか。そしてサリーの事を聞いた時、ヘンリーが知らない、と答えたのはなぜか?アビーは、港よ・・・、と答えながら考えていた。ヘンリーは後ろ手で折りたたみナイフを開きながらアビーに近寄る。アビーは、無線で聞いたの、あなたとサリーが一緒だって、と言う。ヘンリーがじわりじわりと近寄る。アビーの後ろにウェイクフィールドも現れた。アビーは気付いていない。なぜ嘘をつくの?とアビーが聞く。ヘンリーは後ろに隠していたナイフをアビーに見せ、もういいんだ、終わった、と言う。そしてアビーの肩に手を掛け、ナイフを振り上げた。何もできないアビー。しかしヘンリーはアビーを払いのけ、彼女の後ろに立っていたウェイクフィールドにナイフを突き立てる。もがくウェイクフィールド。ヘンリーはナイフを深く突き入れながら、彼女はダメだ、とウェイクフィールドに言う。ウェイクフィールドは、ヘンリー、と言いながら倒れる。呆然と事の成り行きを見ているアビー。ウェイクフィールドは息絶えた。ヘンリーはアビーの名を呼ぶ。アビーは我に返り、あなたはコイツの・・・、あなたが共犯者?と言う。ヘンリーは、アビーに歩み寄り、もういいんだ、もう終わった、ヤツは俺が殺した、などと言う。アビーは逃げ出すが、引き倒されて気を失う。


シェイとマディソンは無事保護されて、FBIの捜査官からその後の捜査状況の説明を受けていた。マディソンが、他の人は?みんな殺されたの?と聞く。捜査官はマディソンを女性捜査官に預けても良いかシェイに確認し、席を外させる。マディソンは、皆死んだんでしょ?と言いながら部屋を出て行く。

シェイはマディソンが出て行くと、妹は?と聞く。捜査官は焼けた教会の写真を見せ、ウェイクフィールドが火を付けたものと思われます、と言う。それでは、トリッシュもそこに・・・?というシェイに、捜査官はヘンリーとトリッシュが一緒に写った写真を見せ、お気の毒ですが妹さんもヘンリー・ダンも教会で死んでいました。と言う。血痕や骨から他にも焼死者がいると思われます、と付け加える捜査官。アビーやジミー、サリーの写真も取り出す捜査官。島中を捜索したところ、20人以上の死体が出てきており、ほとんどの人の身元の照合はできているとの事。ウェイクフィールド自身も教会から焼死体で見つかったそうだ。火をつけた後、逃げ遅れたものと捉えられているようだ。写真を回収しようとする捜査官だが、トリッシュとヘンリーの写真はシェイが手放さなかった。捜査官はお悔やみ申し上げます、と言った捜査官は、数人の島民以外で生き残ったのは、あなたとお嬢さんだけです。と付け加えた。


FBIの捜査隊が島からボートで帰っていた。

アビーは、どこかの家のベッドで目覚めた。

起きて、2階から階段を下りて1階へ行ってみる。明るい感じの真新しい家のようだ。

家の中を見て回っていると、後ろからアビー、と声をかけられる。ヘンリーが立っていた。何か食べる?とまるで何事もなかったかのように振舞うヘンリー。逃げ腰のアビーを見て、全部話すよ、と言うヘンリー。何をしたの?と聞くアビー。君を選び、父を捨てた。と答えるヘンリー。もう秘密は何もない、と言うヘンリー。アビーは、私に近づかないでと言って、家から逃げようとするが、どこも施錠されていて開かない。アビーはコップを投げて2階の部屋へ逃げ込み、ドアを閉めた。

ヘンリーはゆっくりと2階に上がってきて、ドアの前で話した。こうなって、すまないとは思っているが、もう大丈夫だ。俺は俺だよ、と言うヘンリー。時間はいくらでもあるんだ、俺は待つよ、いつまでも、と優しく言うヘンリー。君も望んだことだ。覚えてる?俺が島から帰るとき、別れるのが辛かっただろ?ヘンリーは子供の頃を思い出す。


少女のアビーが、帰って欲しくないな、来年も来るんでしょ?とヘンリー少年に聞いている。ヘンリー少年は、たぶん、と言う。アビーは彼の耳に口を寄せて囁く。ずっとこの島で暮らせたらいいのにね、2人きりで、と言った。


夢がかなったね。これからは2人で暮らせるんだ、いつまでも。とヘンリーが言う。ドア越しに聞いていたアビーは驚いて言葉もない。ヘンリーは、落ち着いたら下へおいで、と言って階段を降りていく。

アビーはドアの前に座り込み、頭を抱えた。

ヘンリーが1階にいると、2階からガラスの割れる音がした。ヘンリーは、見上げて、アビー2階に上がるよ、と声をかける。階段を上がるヘンリーの前に、アビーが大きなガラスの破片を突きつけるように立っていた。彼女は、子供だったのよ、と言った。あたしのせいにしないで、あなたは病気よ、まともじゃない、治療が必要よ、などと言いながら階段を下りる。後退するヘンリー。結婚するはずだったでしょ、と言うアビーに、ヘンリーは、君を島に呼ぶための口実さ、と答える。みんな死んだのよ、と言うと、ヘンリーは、仕方ない、それが運命だったんだ、と言う。ウェイクフィールドはパパとママを殺した、あなたにとっても母親でしょう?と言うアビーに、ああ僕を捨てたね、と言うヘンリー。私達、兄弟よ、と言うアビー。承知の上さ。関係ない、誰も知らないことだ、と言うヘンリー。ずっと騙されてきたんだ、この気持ちが分かるか?と聞くヘンリーに、理解できないわと言うアビー。じゃあ、教えてやろう、知ってもらいたいんだ、なぜ真実を知ったかを、と話し始めるヘンリー。


7年前の事件のとき、ヘンリーは島でウェイクフィールドに会っていたのだ。森の中で出会ったとき、ウェイクフィールドは振り上げた刃物を振り下ろさなかった。ヘンリーいわく、その時は親だと知らなかったが、顔を見た瞬間、絆を感じたそうだ。


絆ですって?私のママを木に吊るした男と?アビーは、思わず言った。気味が悪いよね、最低最悪の男に影響されるなんて、とヘンリーは悪びれずに言った。アビーはガラスの破片を強く握っていたので手に血がにじんできた。ヘンリーはそれを見て、アビー、そんなもの捨てろって、と言う。アイツはパパに撃たれたけど死ななかったという事を知っていたのね、と聞くアビー。ヘンリーは、そうだ、と答える。どうやって知ったの?と聞くと、事件の翌年に、彼が俺に会いに来たんだ、というヘンリー。


ヘンリーが、コック服を着て、店の裏手のゴミ箱にゴミを移しているときに、物陰から現れたウェイクフィールド。彼は自分の息子をずっと探していた。そしてヘンリーこそ、自分の子供だと見抜き、探し当てた。


ヘンリーは言った。肉親の愛がどれほど強いか、分かるだろう?と。そして、ずっとこの話を君にしたかったんだ、と言うヘンリー。アビーは首を振り、あなたは私の知ってるヘンリーじゃない、と言う。俺は親父に会って、初めて本当の自分を知ったんだ、と言う。保安官の推理どおり、シアトルやタコマの殺人にもウェイクフィールドは関係している。でも、やったのは俺だ。ヘンリーはアビーの持っている凶器のガラスを見る。人を殺すのは大変だよ。君には無理だ。彼を撃てなかっただろ?やるならもっと練習が必要だ、と言う。ずっと親友だと思ってたのに、と言うアビー。もう終わったんだよ。もう人は殺さない、と言うヘンリー。俺は親父とは違うからね。彼は愛する者さえも殺せと言ったけど、俺は君を殺すなんて絶対にできない。それが彼と俺の差だよ、と言うヘンリー。彼は死を選び、俺は君と生きることを選んだんだ。愛している。そういうヘンリーに我慢が出来なくなり、ガラスの破片を捨てて、手近にあった天体望遠鏡を手にとって、ガラスの扉を割り、外に飛び出すアビー。ヘンリーも慌てて彼女を追う。


アビーは森を抜け、納屋のような小屋に入った。そこにはジミーが猿ぐつわを噛まされた状態で柱に括りつけられていた。驚くアビー。すぐにヘンリーが入ってきて、小屋から連れ出された。


家に連れ帰られるアビー。ヘンリーは、せっかく隠していたのに、ジミーを見たな、と言う。アビーは助けてあげて、と言う。ヘンリーは、親父は何度も彼を殺そうとしたが、俺が止めたんだ、と言う。アビーは、利用するためでしょ、と言う。人が死ぬごとにジミーが疑われた。アナタとサリーもジミーを撃とうとしたわ、と叫ぶ。俺が助けたんだ、と言うヘンリー。ウソ言わないで、と言うアビー。なぜ彼を生かしているの?と聞くアビー。ヘンリーは、生きてないさ、と言う。俺も、そして君もな、全員火事で死んだことになっている、と。何ですって?と聞くアビーに、事件を終わらせた、と言うヘンリー。世間は俺たちが全員死んだと思っている、警察も捜査を終えた、探しに来る者はもう誰もいないと。俺の父親の焼死体も見つかり、ジョン・ウェイクフィールドは伝説の殺人鬼として語り継がれることになった。アビーは、なぜジミーを殺してないかと聞いているの、と言う。秘密はもうないんでしょ、と言う。ヘンリーはため息をつく。シェイとマディソンが逃げたからだ。想定外だった。彼女らが喋れば共犯者の存在が判明する、と言うのだ。そして、その共犯者にジミーを仕立て上げようと。


ジミーが共犯者だと自白すれば・・・と言うヘンリーに、アビーは、するわけないでしょ!と言う。ヘンリーは、するさ、君を見たから、と言う。君のために自白するさ、と。アビーは、それからどうするの?ジミーを殺す?と言う。ヘンリーは、僕はこれまで色々辛い決断を下してきた、ジミーが最期だ、誓うよ、と言う。逃げ出そうとしたアビーを捕まえ、部屋に閉じ込めるヘンリー。君も辛いだろうが、お互いに犠牲は必要だ、俺に任せて、と言って出て行くヘンリー。アビーは何とか部屋を出ようとするが、何をしてもドアが開かない。


諦めてベッドに横になり、放心状態のアビーの下にヘンリーが戻ってくる。アビーが昔に戻りたい、と言うと、戻れるさ、と言うヘンリー。ジミーが自白書にサインするそうだ、と言うヘンリー。ただし、条件を出してきた。君と最期のお別れを言わせろってさ、と言うヘンリー。下で待ってるよ、と言って部屋から出て行く。


ジミーが監禁された納屋に行く2人。ヘンリーが、さあお別れを言って、と促す。アビーはジミーに近寄り、黙って島を出て行ってゴメンなさい、毎日電話しようと思ってたの、と言って、猿ぐつわを取り、キスをする。ヘンリーが、もういい、やめろと言って、2人を引き剥がす。アビーが、ジミーを愛してる!と叫ぶと、ヘンリーは思わずアビーに平手打ちをした。すぐに後悔し、アビーを助け起こそうとするが、ジミーから、彼女にさわるんじゃない!と言われ、ジミーを睨みつける。その隙にアビーは、転がっていた工具の錐を取って、ヘンリーの足の甲に突き立てる。うめくヘンリーを尻目に、アビーは小屋から逃げ出す。ヘンリーはウェイクフィールド譲りの大振りのナイフを手に取って、追いかける。ジミーは、アビーがキスしたときに口に入れてくれた針金を手元に吐き出して、それを拾って手錠を開けようとする。


海の近くまで逃げたところで、ヘンリーに追いつかれるアビー。待ってくれ、俺はこんなの嫌なんだよ、と言うヘンリー。アビーは、分かってるのよ、自白しないと私を殺すとジミーを脅したんでしょう、と言う。ヘンリーは、すべて君のためだ、君がいないなら、俺は死ぬ、と言う。その為のナイフ?とアビーが皮肉を言うと、ヘンリーはナイフを下に投げ捨てた。これで信じてくれる?君とこの島を愛してるんだ、と言うヘンリー。アビーは、どうかしてるわ、皆を殺して、私の愛する者を奪って、とアビーが言うと、ヘンリーは激高して、俺が居るだろ!と叫ぶ。アビーは、あなたなんか要らないわよ!と叫ぶ。蒼白な顔でアビーを見るヘンリー。そこへジミーが後ろから飛びつき、ヘンリーとジミーは一緒に崖から転落した。


アビーは慌てて崖をおりた。海辺にジミーが倒れている。アビーが助け起こそうとした後ろにヘンリーが立っていた。ジミーの視線でそれに気付いたアビーは、さっきヘンリーが投げ捨てたナイフが落ちていることに気付き、とっさに後ろにナイフを突き出した。そしてそれはヘンリーの腹部を貫いた。ヘンリーはアビーに刺し貫かれた自分の腹と、彼女の顔を交互に見て、彼女に、愛しているとつぶやいて倒れ、息絶えた。


アビーとジミーは、その後、沿岸警備隊に救助された。



数日前、ハーパーズ島へ出航する船で取ったハンディビデオの映像。

トリッシュ

私の、かわいいいいぃぃ、ヘンリー、愛してる。あなたと結婚して一生をともに過ごすのがとっても楽しみ。乾杯!


サリー

ヘンリー、トリッシュ、結婚おめでとう!お前らは最高だ。ところで可愛い女の子が居るな。島に着いたら俺も忙しくなりそうだ。


ダニー

ヘンリー、トリッシュ、2人ともおめでとう!俺は嬉しいぜ。しばらく前から彼女はいないけど、俺も近いうちにいい娘を見つけて、お前みたいに身を固めたいよ。本当、うらやましいよ。


マルコム

トリッシュ、ヘンリー、おめでとう!君たちは凄くお似合いだよ。でもトリッシュには俺の方がぴったりだけどね。


ブース

えーと、2人とも結婚おめでとう。君たちの結婚はすごく嬉しい。でも俺は船が苦手なんだよ。ヘンリー、知ってるだろ。船酔いが心配だよ。


クロエ

トリッシュ、あなたは凄くラッキー。ヘンリーは素敵だもの。私が先に行けばよかった、むかつく。なんて、冗談。手は出さないわよ。えっと、ヘンリーと素晴らしい一生を送って。心からおめでとう。


カル

ヘンリー、トリッシュ、この度は結婚おめでとう。お祝いを申し上げます。ご招待をありがとう。感謝してるよ。結婚式の成功と、これからの人生の幸福をお祈りしてます。


アビー

えっと、ヘンリーとトリッシュ、私、カメラは苦手だから手短に・・・。あなたたちに伝えたいことは詩に書いておいたわ。後で見てね。えーと、お幸せに。終わり。


ヘンリー

やあベイビー、何度も言って聞き飽きたかもしれないけど、愛してる。君との時間を人生最期の瞬間のように大事にするよ。ついに結婚だね。じゃあ、式場で。


(了)


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